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help RSS 皇帝と青貴妃 後日談弐 〜立后〜

<<   作成日時 : 2008/08/17 22:51   >>

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ご無沙汰しています。いかがお過ごしですか?
お待たせいたしました、桃樹さんからいただきました、一周年記念のリクエストです。青貴妃の懐妊話、とのことだったのですが、すみません、どうもずれていきました…。以前の記事、青貴妃後日談の、その後となっております。
桃樹さん、よろしければお持ち帰りください…!



『皇帝と青貴妃 後日談弐〜立后〜』



窓に切り取られた茜色の空に、そろそろかしら、と丁度思った頃だった。
「貴妃、ただいま」
少し照れた笑みを浮かべて、彼女の夫は声をかける。
「おかえりなさいませ、陛下」
長椅子に体を投げ出していたのを、だらしないからと立ち上がりかけると、そのままでと制される。
「体調、良くないんでしょう?」
気遣わしげな顔をして、彼は長椅子の傍らに膝を付き、貴妃の手を握る。
「つわりが少し重いだけですわ」
心配されるのが嬉しくて、自然と笑んでしまう。それを見て、皇帝もほっと表情を緩めた。
「まだ見た目じゃわからないけど、すごいね、確かにいるんだね」
貴妃の腹部に視線を移し、皇帝は嬉しさを声にもにじませる。彼女は唇の端が上向くのを感じた。
「あんまりお腹ばかり見られるのは恥ずかしいですわ、陛下。それとももう、わたくしよりこの子の方が可愛いですか」
その言葉に慌てて妻の顔を見上げた皇帝は、その表情に安堵して笑う。
「そんなこと」
長いすの端に腰かけて、皇帝はそっと貴妃に腕を伸ばした。自然な動作で距離を姫は詰める。お互いを抱きしめて、どちらからともなく唇を重ねた。
「…でも、家族が増えるのは嬉しい」
「まあ」
機嫌がいいらしく、貴妃はくすくすと笑う。
「でも、わたくしもですのよ、陛下」
半年後には、3人家族になる。
皇室という少々特殊な環境の中で、けれどもできるだけあたたかな家庭を築きたい。
だから皇帝は最近、執務が終わって、貴妃の部屋に入る時に「ただいま」というようにしていた。皇帝は私的な時間のほとんどを貴妃とともに過ごすから、この局を「家」と考えることは自然なことのように思えた。
家庭というものに複雑な感情を抱く貴妃も、生まれてくる子と、愛する夫が幸せだと思ってくれるといいと、それは素直に思う。今の自分の幸福は怖いくらいで、だからこそ失わないようにしっかりと掴んでおきたかった。
「陛下、愛してます」
言葉とともに腕に力を込めれば、こくりと肯いて、同じくらいの力で安心感を返してくれる。
もう一人でいなくていいことが、切なくなるくらい嬉しくて、自分はいつからこんなに弱くなったのかしらと思う。
「僕にも、あなただけだよ」
いつだって照れ屋な彼は、貴妃が囁く愛の言葉の半分くらいしか返してくれない。今も顔を真っ赤にして、けれどもまっすぐ金緑の目を向けてくる。
「だから、貴妃、あなたに皇后になって欲しいんだ」
現在皇帝の妃は、今目を瞠っている彼女だけだ。位は貴妃。妃の位の中では、皇后に次いで第二位に当たる。皇帝には彼女以外に娶る気はなく、だからこそ皇后にと強く望んだ。皇后が皇帝の正妻だからだ。
「けれども、陛下、…」
貴妃がためらう理由を、貴妃は決して自分からは言わない。
自分が皇后になれば、おそらく色々な問題が起こることを彼女は懸念していた。
「心配しないで。ちゃんとするから」
最愛の女性を、ただ一人の妻を、守るためにその地位をゆるぎないものにしたい。
僕にはあなたただ一人なのだと、世の中の人に知らしめたい。
自分のなかにこんな激しい想いがあることに戸惑うけれど、それでも自分の腕の中にいるひとを、誰にも傷つけさせたくはなかった。
「僕も、あなたを守るから」
貴妃は目を見開く。
「今まで、一人で抱え込ませてごめんね。もっと早く手を打たなくてごめんね」
ああ、と貴妃はすとんと納得した。
自分が裏で工作していたことを、彼は気づいてしまったのだ。
気づいてくれてしまったのだ。
「…わたくし、あなたにご迷惑かけるものかと思っていましたのよ」
「あなたは、皇后になるのはいや?僕の正妻では、あなたは幸せになれないかな」
貴妃は頭を振った。
「自分で全て片付けて、それからなりたいと思っていましたの」
「そこまでしなくていいよ」
彼は彼女をまた抱きしめた。
「夫婦なんだから、家族なんだから、一緒にやればいいんだと思う」
「でも陛下、わたくしまだ世継ぎを…」
「懐妊中だから、大丈夫だろうって大臣が」
今日は珍しいことが続く。常になく押しが強い夫に、彼が随分この件を真剣に検討していたことが察せられた。
それを断っては女が廃るのではないか。
やがて貴妃は笑って夫の顔を見上げた。
自信に満ちた、凛とした笑顔だ。
「お受けいたしますわ、陛下」
茨の道を、共に歩く決意を二人はした。
本当は相手に歩かせたくはないけれど、二人のほうがきっとうまくいく。


(終)

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コメント(9件)

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5万ヒットありがとうございまーす!
つかさ
2008/08/17 22:54
わー♪さっそく続きが気になります。
って続きあるんでしょうか…
あるといいですね〜。えへへ。
ゆきだるま
2008/08/19 21:39
>ゆきだるまさん
コメントありがとうございます!
なんといいますか、色々一人で抱えこんでいた貴妃が、これからは旦那さんと二人で力を合わせていこうと決意して、やっと家族らしくなる、という話が書きたかったみたいです。

続き…実は既にメールでリクエストをいただいています(笑)
9月の更新はまた青貴妃シリーズかもしれません。
その前にアリスパロを今週中に載せます。…きっと!
つかさ
2008/08/19 22:05
皇帝と青貴妃大好きです。
続きが楽しみです。
煉牙
2008/09/04 21:02
>煉牙さん
はじめまして。コメントありがとうございます!
そ、そう言っていただけると本当に嬉しいです…!続きはさらに捏造というか自由に書いていますが、ひたすらほのぼのの予定です。ん?でも皆さんは甘い夫婦のほうがもしかしてお好きなのでしょうか?

そ、その前にアリスパロを…。更新遅くて本当に申し訳ありません!!!近いうち、きっと更新いたします。狼少年になってしまいつつありますが、どうぞどうぞ、またいらしてくださると嬉しいです!
つかさ
2008/09/05 00:31
リクエストに答えて頂きありがとうございます!
メール頂いたのにお返事が遅くなって申し訳ありません。。
とっても甘くて堪らないお話でした(^ω^*)
そこで…お願いなんですが、私のサイトに掲載してもよろしいですか??
さらにリンクを貼らせてもらえませんでしょうか?
無茶なお願いでしょうが、よろしくお願い致します
桃樹
2008/09/07 21:15
>桃樹さん
甘かったですか、よかったですー!
わ、あんな素敵なサイト様に載せていただけるのですか?なんだかかえって申し訳ないです。よろしくお願いします。
リンクまで!わあ、菜の花でリンクしていただくの初めてです。こちらからもはらせていただいても差し支えありませんか?
つかさ
2008/09/08 00:15
ありがとうございます!
さっそく貼らせて頂きたいと思いますのでしばらくお待ちくださいね。
もちろんこちらこそよろしくお願いしますー(^ω^*)!!
桃樹
2008/09/09 22:19
>桃樹さん
さっそく貼らせていただきました。
ありがとうございます。
つかさ
2008/09/14 23:17

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