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zoom RSS 身代わり伯爵シリーズ二次創作3

<<   作成日時 : 2008/09/15 00:12   >>

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身代わり伯爵の二次創作についても以前コメントをいただいたので、書かせていただきました。
すみません、メインではありませんが、どうぞ載せさせてください。
リヒャルトとミレーユです。



『口説く』


しゃきんしゃきんと、軽やかな音を立てて、ハサミが金茶の髪を短くしていく。
ふんふんと鼻歌まじりにそれをしてのける親友そっくりの少女を、リヒャルトは唖然と見つめていた。

女の子なのに、髪を切らせてしまった。
リヒャルトの母国ではそれはとても屈辱的なことなのだ。

騙して自分達の都合で利用する少女に、本当に申し訳なくて、リヒャルトの視線はつい下に向く。
床に散らばる温かな色味の髪が、はらはらとまた積もった。
綺麗な髪なのにな。
腰まであった三つ編みを思い出す。ほどけばどんなにか自慢の髪だったろう。
「すみません…」
「え?なに?」
明るい声にかえって胸が痛む。
「髪を切らせてしまって」
「え、だってこっちのほうが鬘より面倒じゃないでしょ?」
「それはそうですが」
「ねぇ、それより見てくれる?フレッドってだいたいこんな感じで大丈夫かしら?」
問われてやっとミレーユの顔を見る。うまくできたかちょっと心配そうな、けれどもどこも曇っていない輝くばかりの笑顔だ。
フレッドも笑顔は眩しいばかりだが、彼とは違うとリヒャルトは思った。似ているからこそ差異がはっきり表れた。
彼女のほうが素直でまっすぐだ。
自分の発見が嬉しくて、リヒャルトはまじまじと彼女を見つめた。なかなか返事がもらえず、何故かじっと見られていることに、ミレーユは落ち着かずにとうとう叫んだ。
「な、なによ、どっか変!?」
「あぁ、いえ」
我に返ったリヒャルトは、特に深く考えずに思ったままを告げる。
「かわいいですよ」
「えっ」
「本当に」
自分でも意外なほど彼女の短髪に対する違和感はなかったので、赤くなる彼女に重ねて言う。
「とてもかわいい」
「〜っ、そ、そうっ!へへへ変じゃないならいいのよ変じゃないなら」
「大丈夫、ちゃんとかわい…」
「ああああっ、り、リヒャルトあのねっ、フレッドの服もついでに着てみようと思うのよ、だからちょっと部屋出ててくれるっ?」
「あぁ、はい」
バタバタとクローゼットに向かう背中を見ながらリヒャルトは扉を閉めた。
「細いな」
ぽつりと呟く。肩も背中も女性だからフレッドよりもさらに華奢だ。特に髪を切ったことで露わになった白い首はいっそ儚げですらあった。
今まで普通に暮らしてきた女の子なのだと改めて思い出す。計画のために必要だとはいえ、何も知らない女の子を巻き込むことに変わりはない。
罪悪感に胸が痛むが、それでも嘘を突き通せる自分も知っていた。
「リヒャルト、どう?」
細く扉を開けて、ミレーユが顔を覗かせる。ぼんやり落ち込んでいたので、ついリヒャルトはまた思いつくままを口にした。
「あなたは何を着ても可愛いんですね」
ミレーユは目を見開き口をぱくぱくと開閉させた。
「あっ、あなたねぇ!」
おかしなことを言っただろうかと首を傾げる。妹にもよく非難されるので、自分が口下手なのだろうとは思っていた。
「すみません、口下手らしくて、ちゃんとあなたを誉められていないかもしれないけれど、本当に可愛いと…」
「や、やめて分かったからもう勘弁して!」
ミレーユは手のひらでリヒャルトの口を押さえた。彼に特に意図がないと分かっていても、優しい目と声で可愛いと言われ続けるのは非常に心臓に負担だった。
「…いい?もう今日は可愛いって言わないで。とっても精神的にキツいから」
目だけで彼が頷いたのを確認して、ミレーユはリヒャルトの口を解放しようとした。
「本当のことなのにな」
「リヒャルト!」
「まだ言ってないですよ」
軽く笑って、リヒャルトは離れていこうとするミレーユの指をとり、おもむろにその指先にくちづけた。
「ぎゃっ、なっ、なに!?何したの!?」
「何って…」
少し考えて首を傾げながら彼はのたまった。
「朝の挨拶のときにし忘れてたから」
「しないわよ普通!え、それとも貴族はするの!?フレッドだってしてない気がするけど!」
「妹にはしないかもしれませんね。でもまぁ、験担ぎだと思ってください」
「験担ぎ?」
「ええ」
にこりとリヒャルトは笑んで、これもまた親友より幾分柔らかで細い指先をそっと解放した。
慌てたようにミレーユは手を引っ込め、ついでに自分も部屋に引っ込んだ。


リヒャルトは内心ごちた。

明るくて素直で可愛い女の子を、ちゃんとそのまま全部守ると決めた、騎士の誓いのくちづけです。

大事にしたいものが増えてしまったけれど、驚くほど明るい気分だった。

end



多分リヒャルトに口説かせてみたかったが為に書いた文。
ドラマCDは多分買ってしまうかと。

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
来月の話ですが、来月はつかさの大好きなイベント、ハロウィンがあります。
菜の花でもハロウィンの話を書こうと思うのですが、どんな感じの話がお好きですか?
やっぱりエドリディでしょうか?それともほのぼのニコとレイヴン話、はたまたポルロタ、もしくはケルリディ…。
昨年はエドリディで割とほのぼのしたのを書いたような…。ほのぼの、甘め、シリアスめなら、どんな話がお好みでしょうか?
ご意見ございましたらコメントかメールをいただけると嬉しいです。

身代わりでもハロウィン話書きたいですねぇ。第二王子が張り切ったりするのが可愛いかもしれません。ミレーユとお揃いの着ぐるみを着るのです。

つかさ
2008/09/16 00:30
前回もお話を読ませていただきましたが、“身代わり”だんだん本編を読んでみたくなりました♪それから、ハロウィン懐かしいですね♪一年前、何度が更新されてて、嬉しくて何度も携帯チェックした覚えがあります(^−^)
一年立つのってホント早いですよね♪
ゆきだるま
2008/09/30 20:03
>ゆきだるまさん
いつもコメントありがとうございます!感謝の気持ちをどう言葉にしていいか分かりません…!
身代わり、機会がありましたら是非♪明日最新刊が出ますし。
そうですね、一年経つのは早いですねぇ。実は去年の今頃、「来年は環境も大きく変わるし、サイト続けていられるかな…」と不安に思っていました。いま、更新頻度はとてもとても減ってしまいましたが、何とか続けていられるのは、ゆきだるまさんや、来てくださる方がいらっしゃるからだと思います。
本当にありがとうございます!

ハロウィン話、なにかリクございましたら是非ください♪またお会いできますように。
つかさ
2008/09/30 20:55
身代わり伯爵大好きなので、こちらで創作を見つけたときは狂喜乱舞してしまいました(笑)
リヒミレにきゅんきゅんしましたwww
次作ができることを祈ってます。
まゆ
2009/01/03 02:45
>まゆさん
コメントありがとうございます!
最近ネットあまり開いてなくて、身代わり二次サイトさんがあるのかわからないのですが、早く普及してくれたらいいのにと、つかさも思います!
そろそろ原作、また新刊でますし、また何か書けたらアップさせていただきます!
身代わり二次の更新少なくて申しわけありませんが、どうぞまたいらしてください♪
つかさ
2009/01/04 17:32
つかささん、はじめまして<(_ _)>
身代わり伯爵シリーズ大好きなので、とても楽しませて頂きました!親が近くにいたので、口元を押さえつつニヤニヤしながら読ませて頂いてました。笑 一人なら発狂していたでしょう。
私も伯爵と妖精大好きなので、今度は、伯爵と妖精の創作も読ませて頂きます♪
また来ますっ!(おしかけ。笑)
まま
2009/01/12 16:30
>ままさん
わわっ、お返事遅くなってすみません!きてくださってありがとうございます!
いまつかさも家族の横で、微妙にパソコンの画面を隠しながらこのコメント書いてます(笑)
また来て下さるとのこと、とっても嬉しいです!小さなサイトですが、少しでもままさんに楽しんでいただけると幸いです。
つかさ
2009/01/14 22:19

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