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zoom RSS 身代わり伯爵シリーズ二次創作8

<<   作成日時 : 2009/12/13 20:11   >>

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ご無沙汰しております。
相馬最近ばたばたしていて、やっと二次が書けるゆとりが出来ました♪二週間(前に更新したのは別サイトだけど)ぶりの二次は身代わり伯爵で!
今月はなるべくもう一つ、伯妖で書きたいものです。…って、さいきんずーっとそれ言ってますね(^^;)
ええと、リヒミレです。ちょっと久々すぎて文の書き方分かんくなってたので、まとまりがないのですが・・・。
たぶん決闘あたり設定です。



『縁の下の力持ち』


リヒャルト・ラドフォード卿は疲れていた。
彼はそれゆえ、ある欲求に抗う気力が普段よりも随分と低下していた。
「ミレーユ不足かもしれない」
かもしれないどころでないのはいかな彼にとっても明白な事実だったのだが、何かの見栄が彼にそう呟かせた。ふと気づけば彼女のことを考えている。会いたい。しかし、もう二刻もすればまた仕事に戻らなければならない。「マリルーシャ公女」に呼ばれているのだ。
公女といえば、先刻公女付きの侍女に歎かれた「寝室に男性をいれようとするだなんて」という「男性」が自分を指すことにしばらく気づかなかったけれど、確かに言われて考えてみれば思い当たる節はある。
そこまで朦朧と考えて、はたとリヒャルトはある事実に思い至った。
…俺、ミレーユの寝室にずかずか上がりこんでるんじゃないか。
思えば、年頃の女の子が寝ている部屋にずっと控えていたり、彼女が身代わりとして王宮に詰めている間、彼女が寝てしまったら仮眠室に運び朝は起こしに行ったりしている。
すやすやと健康そうな寝顔を見るのが結構好きなのも事実だ。桜貝のようにうっすらとピンク色の瞼が開き、シアランの海の色の瞳が現れるときはえもいわれぬ美しさなのも知っている。声をかければ、「おはよう、リヒャルト」と彼女のその日一番の挨拶を受けるのが自分である満足と、眠たげな声がどこか幼くてかわいらしいのも味わえる。
 しかし、そのことによって彼女の評判が悪くなるのは問題だ。もしかしたら、距離をとったほうがいいのではないだろうか、と検討を試みた。
「…嫌だ」
考えるより先に口から出た答えに我ながら驚き、理由を探してみた。
「……そうだ、俺は護衛なんだから傍を離れるなんて本末転倒じゃないか」
そんなことも分からなくなるくらい疲れてるんだなと頭を振り、仮眠室へ向かうと、扉の前にはロジオンがいた。
「…どうした?」
「いいえ、ただ、若君。若君は若君の思うままに行動していただければ、不都合は我々がなんとかいたしますので」
「なんのことだ?」
「いえ、とにかくお休みください」
よく分からないながらも仮眠室に押し込められると、リヒャルトの目は丸くなった。
「ミレーユ?」
芯を短くしたランプの灯りに見える、ベッドの上にちょこんと丸まって寝息を立てているのは確かに彼女だった。しかも滅多に見られない女装だ。侍女のお仕着せを着て王宮内をうろうろしているのを見かけたので、その衣装のまま来たのだろう。
 上に何も掛けずにいるのに気づいて、リヒャルトは足早に寝台に近づいた。掛け布団も毛布も下に敷いたまま眠ってしまっているので、引き出したら起こしてしまう。隣の寝台に移そうと思いつき上掛けを捲っておいてから、そっとミレーユの首の後ろと膝裏に手を入れて抱き上げた。
「ん」
「…起こしましたか?」
うっすらとミレーユが目を開け、ぼんやりとリヒャルトを見る。不安定な姿勢に無意識にリヒャルトに身を寄せ付けて服を握りながら、微かにミレーユは笑った。
「おかえりなさい」
リヒャルトは数歩の距離だったのに、思わず立ち止まってしまった。
「…もしかして、待っていてくれたんですか?」
こくりと肯きが返ってきて、リヒャルトの胸になにか熱いものが広がった。抱きしめたい衝動が追って湧き上がるが、それには気づかない振りをした。
「なのにごめ…、寝ちゃった」
「いいんです、十分すぎます。何か用があったなら、また朝になってから教えてください。…おやすみなさい、ミレーユ」

*****
翌早朝、主人を起こそうとこっそりロジオンが仮眠室に入ると、さすがに想定していない光景が目に飛び込んできて、さしものロジオンも一瞬回れ右しかけた。が、ぐっと堪えてもう一度確認する。
…主人とうら若い乙女が同衾していた。
とっさに仮眠室の鍵を閉め、改めて寝台に目を向ける。
「若君?」
意を決して静かに寝台に歩みよる。間近で確認して、ロジオンは少しほっとした。着衣の乱れはない。
「若君、起きてください。もうお行きにならないと」
 肩をゆすると、しぶしぶという風に彼の主は目を開く。寝起きが悪いのだけが弱点の主人の目を覚ますために、そして疑惑を晴らすために、ロジオンは言葉を継いだ。
「若君。ミレーユ嬢となぜ一つ寝台にお休みになっていらっしゃるのですか?」
「…ミレーユ?」
「はい。抱きしめていらっしゃいますが」
「だき…」
リヒャルトは自分の腕の中をゆっくり見下ろした。しばらくぼーっと見つめていたが、やがてぱちりと瞬きすると、がばりと身を起こした。
「若君、ミレーユ様が起きてしまいます!」
「あ、ああ。…しまった、そのまま寝てしまったのか」
辛うじて目を覚まさなかったミレーユの頭を、そっと腕から下ろし、リヒャルトは寝台から降りた。顔にかかる金茶の付け毛を払い、上掛けをきちんと掛けなおし、部屋をでる。
 黄薔薇の宮へ向かうリヒャルトの背に、持ち場へ戻るロジオンは声をかける。
「若君」
「なんだ」
「昨夜から今まで、この部屋に近づいた者はおりません」
「…助かる」
不寝番をしてくれたのだと知って、リヒャルトは長年の部下を労った。
*****

 「…おやすみなさい、ミレーユ」
そう囁いて、彼女が目を閉じたのを見届けてからシーツの上に下ろすと、その冷たさにミレーユの体が強張った。
「寒い?」
 問いかけても、もう意識は眠りの世界へ旅立ってしまったあとのようで、薄く開いた唇からは寝息しか漏れない。けれども暖をもとめて、ミレーユの腕は一番近くの温もりに伸びた。
「わ、ちょっとミレーユ・・・」
 ミレーユの力は大したものではないが、彼女を起こすまいと思うリヒャルトはその力に抗えなかった。ちょうどミレーユの横に添い寝をするような形になり、彼はひどく慌てた。離れなくてはと思うものの、胸にミレーユが頭を摺り寄せ、満足げに小さくため息を零す様子に、布団が暖まるまでは湯たんぽになろうかと、リヒャルトは観念して、…目を閉じた。
 疲れきっていた彼が、目を閉じたらすぐに眠ってしまったのも、温もりを求めてミレーユを抱きしめてしまったのも、余人の知るところではなく、本人達すらよく覚えていないことだ。
 それも、主想いの一人の部下の働きがあってのことだけれど、それこそ誰も知らない。



(終)
リヒミレかと思いきやロジオン苦労話(笑)




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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
『身代わり』創作の新作を拝読させて頂きました。

タイトルはロジオンのことだったのですね(笑)。
最初にタイトルを見た時は、ミレーユのことかと思いました(笑)。

・・・という訳で。

キャー!
リヒ×ミレ同衾ですか〜!
良いですねーっ!!(←大興奮)
相馬さまの描く二人の同衾ネタが、ほのぼのしていて良かったです!流石です!
(多分、私が同衾ネタを描くと暴走しそうです(笑))
ミレーユの意識がなかったのが、残念と言えば残念でした(笑)。
甘いリヒ×ミレをありがとうございました!
sakura
2009/12/13 23:24
sakuraさま

コメントありがとうございます♪
いつもタイトルまで見て下さるsakuraさまの丁寧さにどきどきします。大好きですv
ええと、そのタイトルなのですが、書き始めはこうでした。

「ラドフォード卿の建前」

それが
「ラドフォード卿の休息」になり、なんでだか書きあがり近くに「ロジオンの不寝番」になり、あからさまだろうと今のに落ち着いた次第ですw
いやー、ロジオン便利ですね!実は彼大好きです。
たぶんロジオンは、ミレーユと若君が隣同士のベッドでお休み、くらいに想定していたので、ドア開けてびっくりしたことでしょう。
ロジオンがこうして影で尽力してくれたおかげで、きっとミレーユには悪い虫も極力つかないし、風評被害もなかったんじゃないか…。と力いっぱい妄想して書き上げたロジオン話でございました!…あれ?

>ミレーユの意識
そうですね・・・。じゃあ、小話で補足させていただきます!

つかさ
2009/12/14 00:10
えーと、補足用小話をこっそり載せておきます!よろしければどうぞ!


『縁の下の力持ちのそのあとに』


朝起きて、ベッドの随分端に寝ていたことにミレーユは気づき首を傾げた。
「変ね、いつも真ん中で寝ちゃうのに。…って、そうだ!リヒャルト待ってたのに寝ちゃってた!あれ?私座ったのこっちのベッドだったっけ?」
うーんと思案する。絶対もう一方の寝台に腰掛けていたはずだ。それにそういえば、夜遅くリヒャルトに会えた気がするけれど、それは夢だったのだろうか。
ふと、身体を起こすためについた手の傍に、一本だけ髪の毛が落ちていることに気づいた。
きれいな茶色だ。
「…えっ?」
とても温かかった感覚を、包まれる安心感を、なんだか覚えている気がして、ミレーユはただただ赤面するよりほかなかった。
(終)



つかさ
2009/12/14 00:15
再びのコメント失礼します。m(__)m
(相変わらずストーカーです(笑))

物語を読む前に、タイトルから内容を予想するのが私の癖みたいです(笑)。
『ラドフォード卿の建前』には笑ってしまいました!
そうですよね。
アルテマリスではあまりロジオンは目立った活躍はしていませんでしたが、陰日向にリヒ×ミレを見守っていたのですよね・・・(泣)。
シアラン編でジャックにも告げていますしね(笑)。

早速、小話の『縁の下の力持ちのそのあとに』を拝読しました!
くう〜〜〜っ!
まるで「後朝」を迎えた男女の様です(笑)!
ミレーユの反応が初々しい!
リヒャルトは「包容力のある安心感」が売りだと、勝手に思っております。
今夜はとても暖かい気持ちで眠れそうです。
素敵な小話、ありがとうございました。

P.S.
尊敬する相馬さまに「大好きですv」と仰って頂き、かなり動揺しております(笑)。
ドッキリじゃないですよね・・・(笑)?
私も大好きです!そして尊敬しております!
sakura
2009/12/14 01:27
sakuraさま
小話にもコメントありがとうございます!

き ぬ ぎ ぬ (笑)
そんなに色っぽく書けた自信はないですけど、なら髪の毛じゃなくて衣一枚置いていかせるべきでしたね。でも和服と違って衣を交換して着るとか無理そうですよね?
「リヒャルトのマント…?あ、あたしのリボンがない…、…っ///!そっ、そうよねあたしたち、そういうことに…」
(↑相馬つかさの暴走)
あ、歌も贈らなきゃ…。じゃあ青い目をした小鳥の歌を歌わせますか?このあと2日通い詰めですが妨害多そうですねv

>大好き
そんな、ドッキリなんかじゃないですー!むしろいきなり失礼しました。
尊敬だなんて…!恐縮です。私の方こそ、細やかな気配りと丁寧なお人柄、身悶えしちゃうお話を書かれるsakuraさまを尊敬しております!あの破壊的なまでに可愛いミレーユはどうやったら書けるんですか?うちのミレーユ寝てばっかり…

つかさ
2009/12/14 07:40
 こんばんは。
 おはようかな。
 夜更かししてます。

 先日はブログにコメントありがとうございました。
 こちらでもラブラブで素敵なお話をありがとうございました。

 ところで、こちらからのリンクが

http://http//blogs(中略)you//

 となっています(笑)。
 
 ↑ところで上のコメント二人でラブラブですね(笑)。
 なんだか続けてコメントしにくいです……。
 流れを断ち切ってすみません(^^ゞ
桔梗
URL
2009/12/26 04:07
桔梗さま
いらっしゃいませ♪
え、すみませんリンクに不備ございましたか?失礼いたしました!直しておきます!

ふふふふふ!らぶらぶさせていただきました!公開告白に反応いただきありがとうございます!
でもわたくし、お気づきかと思いますが、もちろん桔梗さまも大好きでしてよ?コメントいただけてるんるんしております♪ありがとうございました〜!
来年もよろしくお願いいたします。
つかさ
URL
2009/12/26 23:29

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