菜の花色

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zoom RSS 身代わり伯爵シリーズ二次創作15 前編

<<   作成日時 : 2010/08/10 02:40   >>

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気持ち玉やコメントをありがとうございます!ふと気づけば、この「菜の花色」も開設から三周年です!
思えば半年くらいでやめるつもりで始めたのに、細々とながらも、皆様のおかげで続けられています。
今後も亀の歩みですが書きたいものを書けるだけ書いていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします!


さて、今回は身代わりからリヒミレ…なのですが…。かなり好き勝手にやっております。すごく不安です…。
原作の設定やら雰囲気を一切無視しておりますので、そのぅ、何を読んでも大丈夫な方はどうぞ…!







『おとぎばなし』





あるところに、ミレーユという元気な少女がいました。
ミレーユには仲の良い友達がいます。リヒャルトという、綺麗な茶色の髪の、王子様のような顔の男の人です。

リヒャルトと出会ったのは、まだミレーユが十になるかどうかのころでした。
ある日、ミレーユは怪我をした子犬を見つけ、手当てをしました。
家に連れて帰りたかったのですが、ミレーユの家はパン屋のため、動物は飼えません。仕方がなく、風雨をしのげそうな場所を探し、毛布とミルクを用意し、匿ったのでした。
翌朝、早起きしてミレーユが子犬の様子を見に行くと、子犬の姿はありませんでした。泣きそうになりながら探し回っているミレーユに声をかけてくれたのが、三つほど年上のリヒャルトだったのです。
リヒャルトはミレーユの説明を聞いて言いました。
「大丈夫。きっと元気になったから出て行ったんです。案外、ミレーユにお礼を言うために、今度は自分から会いにくるかもしれません」
そして、ミレーユの目から堪えきれず零れた涙をそっと拭ってくれました。
「ごめんなさい。泣かないで。大丈夫ですから。…きっと」
リヒャルトが言うと何だか本当にそう思えて、ミレーユはこくりと頷きました。
子犬のために持ってきたミルクとパンを二人で一緒に食べました。
その日から、ミレーユとリヒャルトは友達になりました。



*****



「ミレーユ」
甘やかな声に、ミレーユは思わず笑顔になりながら振り返ります。
「リヒャルト!もう用事はいいの?」
リヒャルトは普段は近所で一人暮らしをしているのですが、ちょくちょく旅に出るのです。
「はい。そうだ、お土産があるんです。はい、口を開けて」
「い、いいわよ。自分で食べられるわ」
「俺がしたいんです。あなたにお菓子を食べてもらうのが趣味なので」
「そ、そんなに言うなら…」
あーん、と言われるままに口を開くと、ぽんと口の中に一口大のお菓子が入れられます。チョコレートの風味がふわりと口の中に広がり、噛むと甘酸っぱい果物の味が舌をくすぐっていき、ミレーユは目を細めました。
「おいしい…!リヒャルトは食べたの?」
「いえ、俺は」
「もったいないわよ、こんなに美味しいのに!はい、あーん」
ミレーユはリヒャルトの持っていた紙袋から一つ摘むと、リヒャルトがしてくれたように口元に運びます。
少しためらったリヒャルトは顔を赤くして口を開き、ミレーユの手首に自分の手を添え、お菓子を口にしました。そのとき指先にリヒャルトの唇が、なんとなく長く押し当てられていたというのは、ミレーユの気のせいでしょう。
「はいはーい、こんな店先でイチャイチャしなーい!お客さんが店に入って来づらいったらないよ」
「フレッド!そっか、リヒャルトと一緒に旅してたんだったわね。おかえりなさい!…っていうかイチャイチャなんてしてないわよ!ただお土産もらってただけ!ね、リヒャルト?」
こんなふうに、二人はとても仲の良い友達として過ごしていました。
しかし、それを快く思わない人もいたのです。
ひとしきりイチャイチャ、いえ、和やかにお茶をして店を出たリヒャルトを、幼なじみのロイが待ち受けて睨んできました。
ロイは何かとミレーユに意地悪を言いますが、それは好きという想いの裏返しであることを、知らないのはミレーユだけです。
「おい!彼氏でもないのにミレーユにああやって、…ふ、不埒な態度を取るなよ!」
「別に、特別なことはいていないが」
「ああ?お前が他の女にそんなことしてるの見たことないぞ。なのにそれが特別じゃないなら何なんだ!」
ロイはびしり、とリヒャルトに指先を突きつけます。
「恋人じゃないならイチャイチャするなよ!ふしだらだと思われるのはミレーユなんだぞ!」
言い捨てて大股で去るロイを、リヒャルトはため息をついて見送りました。彼とて分かっているのです、自分の気持ちが何なのか。けれど、どうしても一歩進めず、かと言ってミレーユから距離を取ることもできないでいるのです。
二階から高みの見物を決め込んでいたフレッドは、やれやれと肩をすくめました。
「世話の焼ける子たちだよね、全く」

***

その日もいつものように森に出かけ、ミレーユとリヒャルトは花畑で談笑していました。
小川がさらさらと流れ、陽光をはじき、花から花へと蝶々がひらひらと舞い踊ります。
ミレーユは幸せだわと思いました。リヒャルトと一緒にいると、世界が綺麗なのです。
「リヒャルト、今日はカブ入りのパンを焼いてみたの!試作品なんだけど、率直な意見を聞かせて!」
昼時でお腹が空いたころを見計らって、ミレーユはバスケットから自作のパンを取り出しました。
リヒャルトは嬉しそうに受け取ります。
「俺にとって、あなたのパンは何よりも美味しいから…役に立てるかな」
職人冥利に尽きる言葉に、ミレーユは顔を赤らめ、胸をときめかせました。
「リヒャルトの一番好きな食べ物って、もしかしてあたしのパン、とか?」
リヒャルトはにっこりと笑ってくれ、ミレーユはこの上もなく嬉しくなります。そのまま見つめ合っていると、いつしかリヒャルトの視線が熱く感じられてきました。リヒャルトは囁きます。
「もしかしたらもっと大好物なんじゃないかなと思うものはあるんですが、それは食べたことがないし、食べちゃいけないので…、俺の大好物はあなたのパンです」
「食べちゃいけない?どうして?」
「どうしても」
「あたしで作れるものなら作るわよ?材料費とか高すぎたら難しいけど…」
「お金じゃ買えないんです。それから、そんなこと言わないで。歯止めが効かなくなります」
「そんなに食べるの我慢してるの?手に入るんなら食べてね?」
リヒャルトは息を一つ吐くと、それじゃあ、と切り出します。
「代わりに、俺の膝に座って、俺にパンを食べさせてください。そうしたら満足しますから」
「ええっ!?」
ミレーユは真っ赤になりましたが、リヒャルトの膝に乗るのなんてよくあることだったと思い直し、結局は言うとおりにしました。
「はい、あーん。…美味しい?」
「ええ、とても。そうだ、それじゃあ俺もあなたに食べさせてあげます。何がいいですか?」
「えっと、リンゴ…」
頷いたリヒャルトはするするとリンゴの皮を剥き、食べやすい大きさに切り分けるとフォークを刺して、ミレーユの口に近づけてくれます。そのリンゴをしゃく、とかじった瞬間、ミレーユは眠くなり、体から力が抜け、くたりとリヒャルトに体を預けたのでした。



後半に続く

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