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zoom RSS 身代わり伯爵シリーズ二次創作18

<<   作成日時 : 2010/10/11 23:00   >>

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昨日、やっと新刊(花嫁修業2)を読みました!
いやーーーーーーーー、良かったです。
読んだら、書きたくなりました!が、しかし。書こうと思ったらなぜか新刊が手元にない!何故!?誰が持っていったの?家族でラノベ読むのは私だけなのに…!
秋の夜長の不思議に見舞われつつ、書いてみました。微妙にネタバレしてるかもしれません。また、登場人物の名前が間違っている場合があります・・・。本当すみません!
※ほんの少し修正しました。2010.10.20



『練習』



 未来の自分の側近を選び終え、ほっと一息ついたころ、ふとミレーユはあることに気がついた。誤解だとは分かっている。けれど、一度胸に去来したもやもやはなかなか去ってはくれず、ミレーユはある日とうとう一大決心をした。
「ロジオン、リヒャルトには絶対言わないでね!知られたら、絶対怒られるわ。でもそれじゃ、あたしの気が治まらないのよ!」
「は。決して口外いたしません」
 畏まって答えるロジオンは、きっと自分とリヒャルトの間で板ばさみの苦しみをおぼえているのだろうと思い、ミレーユの良心はちくりと痛む。けれども前をきっと見据えると、ミレーユは作戦の最終確認にとりかかった。

***

 深夜、へとへとに疲れて戻ってきた大公殿下は、自室の隣の部屋で休む許婚の寝顔を、一目でも見ようと扉を開けた。
 いつも、いとしい彼のお姫様は、すうすうと可愛い寝息をさくらんぼのような唇から漏らし、楽しいばかりの毎日では決してないだろうに、幸せそうな顔をしている。
 その寝顔を眺めて、さらさらの髪の毛を撫でて、掛け布団を整えてあげていると、いつの間にか疲れがすっと楽になるのだ。あまり長居をするとキスをしたくなるのだけが困るところだった。
 けれどもその日、彼女の寝台はもぬけのからだった。とっさに、誰かに攫われたのではないかという考えがひらめいたが、室内には争ったあとどころか、寝台に寝た形跡すらない。そもそも、何かあれは自分に必ず報せがあるはずだと、落ち着きを取り戻したリヒャルトに、ちょうどアンジェリカが声をかけた。
「おかえりなさいませ、若君。申しわけございません。ミレーユ様は今夜はエルミアーナ様のところへお泊りでいらっしゃいます」
「エルの?」
「ええ。ぜひ運命の恋のお話をと請われておいででしたわ」
「そうか……」
 妹とミレーユが仲良くなるのは望ましいことだ。女の子の友達は必要に違いないのだから。そう自分に言い聞かせて、リヒャルトは部屋を出た。

***

 扉を開けたとき、部屋の中に自分以外の気配がするのに気づいた。
それと悟られないよう、リヒャルトは部屋に足を踏み入れる。気配は部屋の奥、寝台の辺りだ。このような場所まで入り込む刺客がいるとは迂闊だった。ミレーユが留守にしているのは幸いだ。いたずらに自分の妻に怖い思いをさせずに済んで。
 リヒャルトは剣を置こうとしているかのようにさりげなく鞘ごと剣を腰から外し、いつでも抜けるようにした。その瞬間、
「とりゃー!!!」
という勇ましい掛け声とともに、ミレーユが飛んできた――。
 とっさに剣を放り、リヒャルトはものすごい勢いでぶつかってくるミレーユをなんとか抱きとめる。しかし、勢いを殺しきれずに、リヒャルトがミレーユを押しつぶす形で、二人して寝台に倒れこんでしまった。
 ミレーユは、寝台の天蓋の上でじりじりと恋人の帰宅を待ち、結び付けておいた縄を使ってターザンよろしく正面からリヒャルトに抱きついたのだった。 
 リヒャルトが相当踏ん張ってくれたから、こうしてふかふかの寝台に飛び込むことが出来たが、普通なら床に二人して叩きつけられていたかも知れないことに気づくには、まだミレーユは昂奮していた。
「あの、ミレーユ?一体どうしたんです?」
はっとしてミレーユはリヒャルトの体の下からごそごそと這い出した。リヒャルトもミレーユの上からどき、彼女が抜け出すのを手伝う。ミレーユが寝台に座り、それでは自分もと起き上がろうとしたところで、リヒャルトは再度ミレーユから体当たりを受けた。
「ちょっ…!?」
今度は仰向けに転がるリヒャルトに、ミレーユは肘と膝を立てて四つんばいになり、覆い被さった。なぜか密着していたときよりも恥ずかしいのは、彼の目を間近で見つめているからだろうか。
どきどきしつつも、ミレーユは訪問の動機を宣言した。
「夜這いしにきたわ!」
「……はい!?」
目を見開く彼の表情に、なにか間違いをしたような気になって、けれどミレーユは何とか続ける。
「だって、あなた、たくさんの女の人に寝台に忍び込まれたりしたんでしょう?」
「それは、俺が望んだものは一つもありませんでした。本当です、ミレーユ」
「うん、だけど、あたしはまだあなたの寝台にもぐりこんだことはないわ!」
「…ミレーユ?」
「ずるいじゃない、あたしが一番あなたを好きなのに、あたしだけしたことがないなんて。他の人があなたの寝台にいてあなたに触ったりとか、き、キスしたりとか、考えたらもう、むらむらしてしょうがなかったの!」
「いや、だから、むらむらは違う気がしますけど。……あの、ミレーユ。キスなんかされてません。俺の初めてのキスはあなたです。あなたが初めてで、そして唯一の人です。これからもずっと、一生」
 意外な告白にミレーユはどきりとした。初めて同士だったのかと、妙に新鮮な気持ちがする。しかし、あることに気づいて、じとりと彼を睨む。
「レルシンスカ様といたとき、ほっぺたに口紅がくっついていたわ」
「あれは…、彼女ともみ合っていたときに」
「揉みあい!?何の!?」
「いや、だから、彼女が圧し掛かってくるのを追いやっている最中に、どうした弾みでか付いてしまったらしくて…。いえ、言い訳ですね。すみません、見ていて気分のいいものではありませんでしたよね。でも、誓ってやましいことはありません。というか、あなたにしか、やましいことはしたくない」
「……本当?」
「本当です」
「うれしくなかったの?あんなに美人で巨乳なのに」
「ええ。今は嬉しいですけど」
リヒャルトは腕を伸ばし、ミレーユの腰を引き寄せた。ミレーユの肘は立てたままなので、胸から脚がぴたりと二人の身体が寄り添うようになる。
どぎまぎしながらミレーユは話を続けた。黙ったらいけない気がした。彼の目が熱を帯びていたから。
「な、なんで?」
「愛する人が夜這いに来てくれたのに、嬉しくないわけありません。しかも焼きもちまでやいて。……しなくていいんですか?」
「え?何を?」
「キス」
「うぎゃ!な、何をいきなり!」
「いきなり加減では、俺はあなたに勝てませんよ。ほら、言ったじゃないですか、むらむらするって。自分もしたいって、そう思ってくれたんじゃないですか?」
 なんて恥ずかしいことを思い出させるのだろうと思いながら、事実だったのでミレーユは肯いた。とたん、猛烈に恥ずかしくなり、とうとうミレーユはその場でごろごろと転がり、リヒャルトの腕の中から脱出した。
「で、でも、もう遅いから帰るわね。じゃあ!」
起き上がりざまに早口で述べ立てて、ばたばたと扉へ向かうミレーユを、リヒャルトは先回りして通せんぼした。
「駄目です。気の済むまでちゃんとしてください」
「も、もう済んだわ!大丈夫だから!」
「じゃあ、俺の気が済みません。してください」
「え…?」
「してくれないと、俺からしますよ?今夜こそ口を開けてくれますか?」
口を開けることの意味が分からないながらも、彼が自分にキスするということは、彼に誓いを破らせることになってしまうことだと思った。ミレーユは覚悟を決めた。
「わ、わかったわ。でも背が高いから少し屈んでくれる?」
「これでいいですか?」
「うん……」
 こわごわと唇で触れた頬は、柔らかくて、手のひらとはまた違う感じがした。
 身体を離して見上げると、リヒャルトが微笑んでくれていたので、ほっとする。
「ありがとうございます。疲れが吹き飛びました」
思いがけず、彼を癒せたらしいことに気がついたミレーユは、ぱあっと明るい表情になった。
「よかった!あ、というか、疲れていたのにごめんなさい」
「いいえ。会いたかったのは俺も同じです。……そろそろ寝ましょうか」
 リヒャルトは、ミレーユを横抱きに抱えると、ミレーユの寝室まで送ってくれた。
 布団をかけてくれ、優しく髪を撫でたあと、少しだけ熱い目でおやすみなさいと囁いて帰って行く恋人を、ミレーユはとろとろと見送ったのだった。

(終)



正直、殿下のファーストキスがミレーユかどうか、自信がない相馬です…。(えー?)
なんとなく閨門祭りっぽいお話になりましたが、新刊読んで妄想が留まらず…!
「あたしの想像力をなめないでよ!」って言える作品をいつか書きたいなあと思っています。
タイトル、久々に思いつきませんでしたが、いつか一緒のお布団に入るための、というかなんと言うか…。

い、いつもなんだか桃色に走ってすみません!
よろしければご感想や気持ち玉を押していただけると嬉しくて小躍りします☆







キャラクターソングミニアルバム身代わり伯爵の危険な響宴
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なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ガッツ(がんばれ!)

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
あれ?なんか、色々おかしいですね。。。
体勢とかが特に…。
後日直します!失礼いたしました。
つかさ
2010/10/12 00:53
こんばんは。

新刊を読まれたのですね!
もう、すっごく面白かったですよね!!
その勢いで創作を描きたくなった気持ちが、大変良く分かります(笑)。
恐らく、一気に書かれたのだと思います。

タイトルの『練習』って、そういう意味だったのですね(笑)。
ミレーユが「とりゃー!!!」という掛け声と共に現れた時には、殿下同様こちらも驚きました(笑)。
やっぱり斜め上なミレーユが可愛いです!
焼きもちを妬くミレーユも可愛いです。
ミレーユの「揉みあい!?」にも噴きました(笑)。
そして、殿下の「あなたにしか、やましいことはしたくない」を、ミレーユは華麗にスルーしましたよね(笑)。
私は、殿下のファーストキスはミレーユだと思い込んでます。
過去に不意打ちでされそうになっても、殿下は巧みに避けていたと信じてます(笑)。

流石、相馬さまです。
今回もとっても面白かったです!
また、可愛いミレーユを愛でに参りたいと思います!
十月の『身代わり』祭り万歳です!
今夜は幸せな気持ちで眠れそうですv
ありがとうございました。
sakura
2010/10/12 01:21
おはようございます!
その後行方知れずになった新刊は見つかりましたでしょうか?一体いずこへ……

さて、今回の作品も大変面白かったです!面白かったといいますか、どきどきしたと言いますか。
最愛のひとに夜這いかけられて、それでも我慢した殿下にスタンディングオベーションしたいくらいでした←ひとりで?
「揉みあい!?」にはわたしも噴きました!相変わらず斜め上なミレーユが可愛すぎです!一体何を想像しているのやらっ。

閨門祭りも新刊発売前にしておいてよかったのかもなあと思っています。あれ読んだあとだと、また全然違う作品になっていた可能性も大なので。いやそれはそれで面白かったのでしょうか。

本当に楽しいお話をありがとうございました!再読しに何回もお邪魔すると思います♪
まみみ
2010/10/12 05:38
sakura様
コメントありがとうございます!
新刊読みました!すんっごく良かったです!これを読まずにいた10日間がうらめしくてなりません!くう、仕事め!

>一気に書かれたのだと思います
はい。二時間だか三時間ほど、ひたすらパソコンの画面を凝視しておりました。書きあがったころにはへろへろしてて(驚きの体力のなさ)、見直しもせず載せたのですが、たくさん間違いがあってびっくりです。。。今週末辺り、またパソコン開いて直します。

>ミレーユが「とりゃー!!!」
ここは、ターザンという言葉を使っていいものか悩みました。しかし私の中では、ジャングルで動物の皮っぽい衣を纏ったミレーユが、樹から樹へと飛び移る絵が出来上がってしまい…。
「案外似合う大丈夫大丈夫」とかつぶやきながらそのまま書いてしまいました。
その設定でも殿下はさわやかに、巨大な獲物を仕留めて帰ってきてくれそうな気がします。

>「あなたにしか、やましいことはしたくない」を、ミレーユは華麗にスルー
スルーです!今回色々スルーです(笑)
ここは「やましいことは何もない」だけを頭に入れて、ほかは右から左だったんだと思います。昔から人の話は聞かないとか、ヒースが言っていましたし…。

>殿下のファーストキスはミレーユ
そうですよね!すごく素早く避ける技を持っていそうです。そのくせミレーユがうっかりぶつかって来たりしても絶対に避けずにキスされたりとかしそうですvおかげで自信が持てました!ありがとうございます!

今月はもう一本くらい書いて、身代わり祭りを堪能したいと思います。読んでくださり、ありがとうございました!



つかさ
2010/10/12 22:56
まみみ様
新刊さんは依然行方不明です…。うう、家族バレ?怖い、怖すぎますが、びーえる見つかるよりは全然マシだと自らを慰めています。

どきどきしてくださったと仰っていただけて、心底安心いたしました!今回、殿下は実に我慢をしたと思います。閨門祭りのときだったら、こうはいかなかったと…

>「揉みあい!?」
す、すみません///
ミレーユったら、何を想像したのでしょうか、ほんとに。殿下から聞いてもらいます。

「揉みあいって、何を想像したんですか?」
「な、何って、それは…っ///」
「(真っ赤な頬がかわいいなあ…)肩、ですか?」
「へ!?え、あ!そう、そうよ!そうよね肩よ!」
「そうですか。別のところだと思いました」
「えっ!?や、やだ!何を想像したのよ!」
「何を想像したんだと思います?」
「だ、だから、えーと」
殿下はたまに意地悪ですよね。黒様って呼ぶんでしたでしょうか?
黒様といえば、キリルは大丈夫なのでしょうか。
ミレーユの胸に気づいたってことや、告白したことや、そもそもミレーユを好きになったってことで、お兄ちゃんから意地悪されないのでしょうか。もう、ミレーユに「冗談だよ」って言ったことでチャラ?そうでなければあんまりに可哀そうでしょうか。

>閨門祭り
そうですね。この新刊後だと、とりあえず私のはかなり描写が変わっていたと思います。舌足らずになったとことか…。

そして今回、実は私もまみみ様もsakura様も、時間こそ違えど11日の同日アップだったことに気づいて、一人にまにましております。なんか少し祭りっぽいですよね♪

最後になりましたが、コメントと気持ち玉をいつもありがとうございます!
つかさ
2010/10/12 23:15
すみません!文章ですが、直す時間が作れず、まだ直ってません……!
ええと、20日辺りにはパソコン開けそうです。
おいでいただいたのに、本当にすみません!
つかさ
2010/10/18 01:50

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