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zoom RSS ハロウィンのサプライズ企画!Halloween night

<<   作成日時 : 2010/10/24 00:00   >>

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サプライズ企画!ハロウィン祭りです♪
それはまた別のおはなし。」のまみみ様と、「夢のあと」のsakura様と、同時にハロウィン作品をアップするという企画です。
どうぞ三者三様のハロウィンをお楽しみください!
うちの今年のハロウィンは、以前書いた御伽噺パロディの設定で書いたので、リヒャルトは狼男で、ミレーユは町娘です!狼設定を活かしきれてないほのぼのした感じですが、よろしければ追記よりどうぞ!



『Halloween night』


不思議なことが起こる夜だから。

***

 リヒャルトはいい匂いがする。

 彼と恋人になったその日から、たまに抱きしめられるようになって、ミレーユはいつしかそれに気づいた。
 お花の香りだ。
 もっと嗅ぎたくて、香りの源を探りたくて、ついミレーユはリヒャルトの胸にぐりぐりと額を押し当てた。
 そうされて、リヒャルトは眉を下げる。そんなことをされては、もっと強く抱きしめたくなる。思い切り抱きしめて、彼女の温もりと柔らかさを、今よりもっとちゃんと感じてみたいし、あのとき以来の唇の感触を確かめたい……。
 リヒャルトはミレーユの頬に手で触れて、しかし結局離した。やるせなく、こっそりため息をついてから、腕の中のミレーユに尋ねる。
「ミレーユ?どうしたんですか?」
「えっ、あっ、ごめんなさい!いい匂いがするなと思ってつい…!」
 ミレーユは、うぎゃー!と内心叫びながら飛び退いた。何だかとっても大胆なことをしてしまった気がする。まだ恋人になって間がないというのに、自分から抱きしめる力の方が強かったかもしれない。はしたないとか、もっと奥ゆかしいほうが好みだとリヒャルトに思われたかもしれない。
 そこまで一気に考えたミレーユに、リヒャルトは微笑んで胸ポケットから取り出した小瓶を見せた。
「これかな。魔法薬です。俺の耳や尻尾が、これを飲んでいれば見えなくなるというか引っ込んでくれるんです」
 ミレーユははっとした。リヒャルトは半分人間で半分狼の、今は殆どいない種族の生き残りで、姿を変えて過ごしていることを、ミレーユはつい最近知ったばかりだ。
「そうなの…。ええと、そんな大事なこと、教えてくれていいの?忘れた方がよければ忘れるから言ってね!」
 リヒャルトは吹き出しそうな顔をした。
「忘れようと思って、忘れられるものなんですか?」
「きっと気合でなんとかなるわ!平気よ、夢だって朝起きたら滅多に覚えてないし!」
 リヒャルトは笑った。
「ありがとう。でも、あなたには言いたかったから」
 むしろずるいかもしれないと思う。彼女の優しさにつけ込むことになっていないだろうかと。
 なのに彼女は頬を染めて言うのだ。
「あ、ありがと…」
それは自分の台詞だ。たまらず、リヒャルトはもう一度彼女を抱き寄せた。強く抱きかけて、躊躇って、そっと。


***


 10月の末日は万聖節の前夜祭で、ミレーユの住む辺りでは、夜、広場に篝火が焚かれ、道にはカボチャやカブで作られたジャック・オー・ランタンが飾られる。日が落ちてから人々は思い思いの仮装をし、子どもたちは連れ立って家々を練り歩く。「お菓子をくれなきゃいたずらするよ!」の合い言葉で、お菓子をもらえ、広場に沢山並ぶ屋台では子どものためのメニューを格安で買えるからだ。
 その日を前日に控え、店番をしながら子どもたちに配るためのクッキーを小分けにしていたミレーユに、母親のジュリアが奥から声をかけた。
「ミレーユ、あんたの仮装、去年と同じでいいの?魔女。干しておくわね」
「あ、うん!ありがとう!」
 返事をしつつ、ミレーユは去年リヒャルトに、「可愛い魔女さんですね。あなたになら魔法をいくらでもかけられたいな」だの「もうかけられてしまっている」だの言われたことを思い出し、赤面する。リヒャルトは吸血鬼だった。黒マントがすごく似合っていた――。
 ふと、ミレーユは眉を寄せた。思いついたことがある。
 娘の百面相には慣れ切ったジュリアが、さっさと踵を返す背を、ミレーユは呼び止めた。
「ママ、待って!あたし、やっぱり違うのにする…」

***

 そろそろミレーユが迎えにくるころだと、リヒャルトは黒いマントを羽織った。
 危ないから迎えに行くと言ったのに、どうしても家まで来ると言ったのだ。
 毎年、万聖節の夜はミレーユと出かけることになっている。去年のミレーユは黒いワンピースに尖り帽子の魔女姿で、長い三つ編みを躍らせながら歩く姿がたまらなくかわいかった。なぜか途中から「もう何も言わないで!お願い!」と言われてしまったが。
 ドアが叩かれ、リヒャルトは愛しの恋人を迎え入れる。
 頼んだとおり、ミレーユを送ってきたフレッドが(彼は何故かウサギの着ぐるみ姿だ)、片目をつぶって去っていったのは意識の端で確認したが、リヒャルトの目はミレーユに釘付けになった。
「ミレーユ、それは…?」
 ミレーユはいつもの格好に、頭に三角の耳を、腰からは尻尾を着けていた。
「あの、あのねっ。これは、決してあなたのことを軽々しく思ってしたわけじゃないのよ!」
「いえ、あなたに限ってそんなことをするわけないから。それじゃあ…?」
「うん…。今日はみんなが色んな格好をする日でしょう?だから、あなたがあなたの本来の姿になっても、今日なら、誰からも気にされることはないわ」
それに、とミレーユは続ける。
「あたしは、あなたの耳も尻尾も、好きだわ。だから、同じ格好をしてみたいと思ったの」
それが良いのか悪いのか、判断に自信が持てずにいるのだろうミレーユは、リヒャルトの反応を怖々と待った。
 リヒャルトは黙ってミレーユを部屋に迎え入れ、玄関の扉を閉める。ドアと腕の中にミレーユを閉じ込めて囁いた。
「それなら、魔法を解いて」
「え…」
ミレーユが見上げると、ひたむきな目でリヒャルトが自分を見つめ、微笑んでいた。
「あなたが解いてくれないと、俺の魔法は解けません」
言われている意味に、ミレーユは気づいて真っ赤になる。それでも、彼の肩のマントを握りしめ、目を閉じて爪先立った。
「好きです」
耳元で落とされた言葉にミレーユがドキドキしていると、いつもより強く抱きしめられ、それから魔法はもう解けているのに、何度も何度もキスが落とされた。


お揃いの耳と尻尾を着けて手を繋いだ2人の姿を、フレッドが見かけたのは、彼が妹と別れてから随分経ってのことだった。


(終)




久々にほのぼのした話になった気がします。
この企画に際し、当初は狼リヒャルトがガンガンミレーユにいちゃいちゃをしかける話を書いていました。
しかし、今朝ふと、まだリヒャルトの中にある遠慮みたいなものを、ミレーユが突き崩す必要があるんじゃ!?と思いつき、急遽書き直しました。我ながら毎回危ない橋を渡りすぎだと思います…。

最後になりましがた、読んでくださりありがとうございました!
もしよろしければ、気持ち玉やコメントいただけますと嬉しいです!いつも励ましていただいて、感謝しております!

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。ハロウィン祭り無事開催できてよかったです!お疲れさまでした。
そして。
今回もとても可愛くてどきどきするお話でしたー!基本「ほのぼの」だとは思うんですけれども、どうしてこんなにどきどきするんでしょう……!
ほのぼの+αを描くことのできる相馬さまを心から尊敬しています。遠慮を突き崩されたリヒャルトは、ここから「ガンガンいこうぜ」(C)ドラクエ モードに入るんでしょうかっ。シリーズ化を希望したいです〜〜。
選びかねて気持玉2つ押させてもらいました。
すてきなお話をありがとうございました♪♪
穂村まみみ
2010/10/24 00:09
こんばんは。

相馬さまの御伽話パロディが大好きだったので、今年のハロウィン創作が続編だと知ってまえがきの段階から既にニヤニヤが止まりませんでした!
あとは最後迄ニヤニヤしっぱなしでした(笑)。

可愛くて無自覚なミレーユに、狼リヒャルトは色々と我慢しなければいけないので大変ですね!
そして、リヒャルトを想ってのミレーユの仮装に「何てミレーユは優しい子なんだ!」と感動しました!
ちなみに、フレッドがウサギの着ぐるみだったことに噴きました(笑)。(理由は私のハロウィン創作で分かります(笑))。
王子様の魔法が、お姫様のキスで解けるなんてロマンチックです!

急遽、今日になって思い付いたという設定が素晴らしいです。
相馬さまの創作は、温かくてほのぼのしていて本当に大好きです!
素敵なリヒミレハロウィン話をありがとうございました。
sakura
2010/10/24 00:19
はじめましてイエローと申しますm(_ _)m
実は結構前から読み逃げしておりました…すみませんっっお忙しそうなのでコメントするのも憚られたのですが我慢出来ずにコメントしてしまいます!!
余りに可愛いお話にほんわか癒やされました〜お互いに想い合う姿がとっても素敵です( ̄∀ ̄)童話のようなお話もイイです♪
次回作ものんびりと楽しみにしております☆
イエロー
2010/10/24 22:36
穂村まみみ様

こんばんは。お返事が遅くなり、申し訳ありません!コメントありがとうございます!

>ハロウィン祭り無事開催
よかったですー!急でしたのに、ありがとうございました!でもご一緒できて嬉しいです。
というか、言い出しただけであとは全部お二人にお任せしてしまい、本当にすみませんでした!

>基本「ほのぼの」
>どうしてこんなにどきどき

わわわ、誉めてくださってありがとうございます!ドキドキできるものを書くというのが目標なので、とても嬉しいです!
でも私はまみみ様をこそ尊敬しております!あのミレーユの小悪魔加減や、殿下の策士っぷりに、いつも悶えています!

>リヒャルトは、ここから「ガンガンいこうぜ」(C)ドラクエ モード

ガンガン行っちゃってもいいのでしょうか(笑)!?でもシリーズ化するとそればっかり書く前科持ちです。(伯妖の二次だと青貴妃とか…。)
そういえば、書き直す前のハロウィン話は、のっけから「キスしたいな、と思う。いや、したくてたまらない。」という書き出しから始まる、質より量のいちゃっぷりでした。冷静になると、これは恥ずかしすぎますね……。

>選びかねて気持玉2つ
いつもありがとうございます!
今回もとても楽しかったです!コメントと気持ち玉、ありがとうございました!
つかさ
2010/10/25 23:54
sakuraさま
こんばんは。お返事遅くなりました!

>御伽話パロディが大好き
ありがとうございます!これはかなり好き勝手に書いているので、そうおっしゃっていただけて安心しました。嬉しいです!

>狼リヒャルトは色々と我慢
実は初めてちゃんと我慢してもだもだするリヒャルトを書いた気がします(笑)
我慢しているし、まだ怖いなと思っているのに、ミレーユから歩み寄ったりくっついたりされたら、……我慢するのきついでしょうね〜(^ー^)ニヤリ←

>ミレーユの仮装
>優しい子
ここ自信なかったんです〜!本当に大丈夫かなぁとビクビクしていたのですが、
そう思っていただけて良かったです。ほっ。
誰かを思って何かをするって難しいなと改めて感じました。原作ミレーユの行動力はやっぱり魅力的です☆

>フレッドがウサギの着ぐるみ
私も噴きました(笑)すごく私たち気が合いますね!

今回のハロウィン話も、大変楽しく書かせていただきました!本当に、言うだけ言ってあとはお任せしたきりで失礼いたしました…!ありがとうございます!
つかさ
2010/10/25 23:57
イエローさま

はじめまして、イエローさま。菜の花色にいらしてくださって、ありがとうございます!嬉しいです!

>お忙しそうなのでコメントするのも憚られたのですが

すっ、すみません!お客様にそんなお気遣いをさせてしまって…。
忙しいですが、でも、構っていただけると元気が出ます!コメントしてくださりありがとうございました!
実は私もイエローさまのところ、拝見逃げ(?)していました。

>余りに可愛いお話にほんわか癒やされました〜

書いていると、可愛いのかどうか分からなくなってしまうのですが、そうおっしゃっていただけて嬉しいです(*^_^*)
続きを書くなら、おとぎ話の空気を壊さずに、もう少しいちゃらぶさせられたらいいなと思います。

半休止中なので今度はいつになるか分かりませんが、今後ともよろしくお願いいたします!

つかさ
2010/10/26 00:00
ハロウィン祭り開催おめでとうございます!そして、サプライズな企画をありがとうございます♪
とってもとっても可愛いお話でした♪d(⌒〇⌒)b♪
狼リヒャルトの『魔法を解いて』にドキドキして、ラストは心が温かくなりました(*^^*)ほのぼのいちゃラブですね♪何回も読みました!シリーズ化!ワタクシも希望したいです♪
お忙しい中、素敵なお話をありがとうございました!
Sogno
2010/10/26 20:30
Sognoさま
>ハロウィン祭り開催おめでとうございます!

ありがとうございます!お読みくださり嬉しいです。お返事が遅くなり申し訳ありません!

>『魔法を解いて』にドキドキして、ラストは心が温かくなりました(*^^*)
ありがとうございます。なんかもう、誉めていただくと照れてしまいますが、嬉しいです。

>シリーズ化
はわわわっ、そう仰っていただけると、話がまずくなかったんだと思えて安心しますし、感激です!このあとのことは実は何にも考えていないのですが、次はもう少しリヒャルトもラブラブしたいでしょうか?

イチャイチャしたい?
「聞かないでください!」
えーと、聞くまでもないってこと?
「違います!全く、こういうことは色々と条件とか順序があるでしょう…!ミレーユの意志が何より大事です」
君の意志は?
「聞かないでくださいったら!」

案外、うちは狼リヒャルトのほうが紳士のようです。
また何か考えてみます!
お忙しいのにいらしてくださり、ありがとうございました!
つかさ
2010/10/29 00:33

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