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zoom RSS 身代わり伯爵二次創作26

<<   作成日時 : 2011/03/15 15:11   >>

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こんにちは。日記でも宣言したのですが、『いつもどおり』の運営にあえて戻ります!胸祭りはまだ延期しますが、『いつもどおり』の安心感を、相馬も今回の地震で感じたので。
現代パロで理人(リヒャルト)と未鈴(ミレーユ)です。まだ未鈴に自覚なしの時期ですv



『まだ固いつぼみだけれど』



花柄やリボンやレース。
女の子らしい洋服がずらりと並ぶ店頭を、未鈴は少し離れた所から眺め、ため息をついた。
「どうしたんです?いきなり元気がなくなりましたが」
2人は少し開けた街にあるショッピングモールに来ていた。未鈴の様子に、理人が気遣わしげに声をかけると、彼女は慌てて笑顔を浮かべる。
「あっ、ううん!なんでもないわ」
「……未鈴」
けれども、なぜか理人にごまかしはきかないようだ。そんなに分かりやすいのかしらとショックを受けつつも、それよりも彼の視線が痛くて、未鈴は観念した。
「う…っ、わ、分かったわ。言うからそんなに見ないでってば!あのね、……笑わないでね?」
「もちろんです」
「ああいう女の子らしい服をね…本当はあたしも着てみたいなって思って…」
未鈴はもじもじと自分の姿を見下ろした。
パーカー、Tシャツにジーンズ、スニーカー。今のピンクのTシャツだって好きだけれど、ちょっと女の子らしかったから、買うときに少し悩んだくらいなのだ。
「ああいう服ですか?」
理人がマネキンと自分とを見比べるようにするのがいたたまれない。未鈴は言うんじゃなかったと涙目になった。
「が、柄じゃないって分かってるわよ、だから着たことないわ!小学校上がってからは。さっ、行きましょっ!次はグローブを見に…」
顔を見られたくなくて、足早に離れようとする未鈴の腕を、理人ははっしと捕らえた。
「な、何?」
「何って…、せっかくだから着て見せてください。きっと似合うと思うから」
にっこり微笑んで、彼はぐいぐいと未鈴が先ほど見とれていた店へと引っ張っていく。きょとんとしていた未鈴は、店先ではっとして抵抗を試みた。
「やっ、やだっ、絶対似合わないわよ!ああいうのは、可愛くて可憐な女の子が着るもので、あたしみたいなガサツで逞しくて女の子にラブレターもらうようなのが着るものじゃないってば…!」
「可愛いですよ」
「は?」
理人は未鈴を穏やかに見つめて言い直した。
「俺は可愛いと思うけどな、って言ったんです。あなたは過小評価が過ぎますよ」
「そ…んなの、初めて言われたし…、あっ、理人優しいから慰めてくれてるとかだったら、ほんと気にしないで大丈夫よ?」
いつものが始まったと思いつつも、未鈴の頬は熱くなる。しかし長年の信条を手放せずに、たじたじになりながら、なおも言う。すると、理人が真顔になり、未鈴の肩を掴んで言い聞かせるようにした。
「慰めとか、嘘じゃないです。俺は例え隠し事はしても、あなたに対することで嘘は言いたくないと思ってる」
「ご、ごめ…」
固まる未鈴にはっとして、少しバツが悪そうに理人が微笑み、手を繋いでくれると、やっと未鈴は意地を張るのをやめる気になった。
「着てみてください。いつものあなたも可愛いですが、違うあなたも見たいです」
「……うん」

***

理人が未鈴にと選んだ服を試着室に持ち込み、着替えた未鈴は、鏡のなかの自分にどうしても違和感があって、しばらく動けなかった。
花柄のミニ丈のワンピースに、ショートパンツ、ニーハイソックスに、ドルマンスリーブのカーディガン。
こんなに女の子らしい服装は幼稚園以来だ。小学校に上がってからは、男子に「男おんな」だの「暴力女」だの言われて、大好きなリボンもひらひらのついたブラウスも、「女の子らしい」服はいつからか選べなくなってしまったのだ。
未鈴はため息をついた。着てみたかったのに、似合ってない気がする。理人がせっかく背中を押してくれたけれど、期待に応えられなくて申し訳ない。
「未鈴?着替え終わりましたか?」
カーテンの向こうから理人に声をかけられ、未鈴はびくりとした。がっかりされるのは嫌だけれど、見せる約束だから仕方がない。
「う、うん。でもね、あの、似合ってない気がするんだけど」
「見慣れないだけですよ、きっと。大丈夫ですから出てきてください」
優しい声に促され、未鈴は気合いを入れてカーテンを開く。すると、未鈴を見た理人が、目を丸くした。
「やっ、やっぱり似合ってない!?ほんとごめんね!すぐ着替えてくるっ!」
「違います!その逆です!」
「逆っ?」
「ええ、あんまり似合うから、びっくりしたんです。可愛すぎて…」
「…っ!」
真っ赤になると、「お客様、大変お可愛らしいですー」、と店員が誉めてくれながら、備え付けのミュールを、足元に揃えてくれる。
それを履いて、改めて明るい店内の大きな鏡に案内されると、隣に理人も並んで、鏡の中の未鈴を再度見つめた。
「ほら、可愛いじゃないですか。今度から、こういう服も着てください」
理人の隣に並ぶと、不思議と可愛い服を着た自分がしっくり馴染むようで、未鈴はこくりと頷いた。
「いつもスニーカーでしたね。…すみません、服に合う靴はありますか」
理人が店員に尋ね、さらに未鈴を店内のベンチに腰掛けさせた。
店員が選んだ数足から、一足を選ぶと、徐ろに理人は未鈴の足元に膝をついた。
「えっ?ちょっ…!?」
そんなことをされたら、申し訳ないし、それにまるでシンデレラになったみたいで、魔法が解けたら寂しすぎる。
そう思うのに。
片足ずつ靴を履かせてもらい、改めて鏡の前に立ったとき、未鈴はこんな自分がいてもいいのだと思えてしまったのだった。

素直な気持ちで、好きなものを好きと言って、一緒にいて心地いいひとと、特に理由もなく一緒にいても、いいのかもしれない、と。


(終)

女の子らしい服を着る、って、ミレーユよりも未鈴のほうがハードル高そうだなぁと思い…。
マイフェアレディ風?とりあえず、理人さんの理人さんによるほぼ理人さんのための、未鈴をプロデュースでした(笑)





おまけの小話1


「このまま着て帰ります。全部ください」

理人が言って、未鈴は仰天した。
「まっ、待って!あたしそんなお金持ってないから!」
理人が笑う。
「いいんです。ホワイトデーのお返しですよ。あなたに喜んでもらえるものが何か考えあぐねて、とりあえずバイトだけはしていたので…間違いなく喜んでもらえそうなものが贈れてよかった」
「えっ…、バレンタインのお礼には高すぎるわよ!」
「何を言うんです。手作りのチョコクッキーに、手編みのマフラー、すごく嬉しかったんですよ。マフラーはあれから毎日つけてました。もう暖かくて巻けないのが残念です」
「えっ」
未鈴は絶句した。
生まれて初めて編んだマフラーは、編み目が揃ってなくて、お世辞にも上手にできたとは言えない出来だったのだ。
確かに理人と会うときは、彼はいつもそれを身につけてくれていたけれど、それは自分に気を遣っての、そのときだけの配慮なのかと思っていた。
「さ、行きましょう。次はグローブでしたね」
着々と会計を済ませ、未鈴がもともと着ていた服を袋に入れて貰ってから、理人は固まる未鈴を促した。
ハッとして、未鈴は理人に並ぶ。
「あのっ、本当にありがとう!大事にするわ。あっあと、ごめんなさい、荷物持たせちゃって。それ、持つから…」
理人の持つ紙袋に手を伸ばすと、理人は別の手で未鈴の指を絡め取った。
「じゃあ、こうしていたいな」
「え…?」
仲良く店を出て行く2人を見送る店員が、若干疲労を感じていることには、戸惑う未鈴は全く気づかなかったのだった。

(終)ギブミー塩的な…。



おまけの小話2

試着室から出てきた未鈴に、理人は目を奪われた。
春らしい装いの彼女は、まるでお転婆な春の妖精のようだった。
想像以上に愛らしい。
全体的にすらりとしているので、実はどんなものを着ても野暮ったくならない体型なのだが、彼女はそれを自覚していない。
それが、どうだ。
しまった、魅力的すぎる。
甘くなりすぎないようにまとめたコーディネートは、未鈴の愛らしさも元気の良さも引き出していた。
我ながら大成功なのだが、こんなに可愛いと心配で、正直、誰にも見せたくない。
でも、この格好をした未鈴の笑顔が見たい。まだ彼女は不安げで、笑ってくれてはいないのだ。
結局彼は、ホワイトデーにかこつけてそれらを全てプレゼントした。
そして、買い物の途中で寄ったカフェで、甘いものに口元を綻ばせる未鈴に、また帰路で彼の助手席に座りながらすっかり寛ぐ表情(と、太ももと胸元の肌の白さ)に、いたく動揺するのだが、それは苦役というにはあまりにも甘やかな疼きだったのだった。

(終)…むっつり。




長々と失礼いたしました…!
よろしければ、気持ち玉やコメントでどう感じられたか教えていただけると幸いです!

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。新作拝読しました!
すてきなプロデュースでした!(≧∀≦)b自分でしたくせに、理人さんが未鈴のあまりの可愛さに動揺しているのに笑いました。策士な理人さんの上をいく未鈴がナイスです☆
本編で十分にすてきですのに、おまけの小話が2つもついてて大変うれしかったです^^1は結局自分のしたいようにする理人さんに笑い、2では理人さんの苦しさや嬉しさや切なさが如実に感じられてどきどきしました。

大変な折にこんなに可愛くてナイスなおはなしを読ませてくださってありがとうございました!わたしもまた頑張って何か書きたいと思います^^
まみみ
2011/03/15 19:38
まみみ様
こんにちは!ご来訪とコメント、どうもありがとうございます!
まみみ様のところのホワイトデーのレベルに到達するには、うちの2人はまだまだ時間がかかりそうですが、じりじりする理人さんをこれからもちょっとずつ書いていきたいなと思います!
次は、うんと過去の小学生未鈴を書くか、ドライブする2人を書くか、はたまたアンの話を書くのか、もしくはカイシルをきっちり書くのか悩んでいます。
書きたいことは山とあるのに書く時間と気力と技量がなくて、うきゃ〜!と叫びたくなりますが、どうぞまたいらしてください☆今月末ごろ更新予定です!

つかさ
2011/03/16 12:25

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