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zoom RSS 身代わり伯爵シリーズ二次創作35 (snow様へ)

<<   作成日時 : 2012/01/09 17:36   >>

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こんにちは。
今回は、先日素敵な絵をいただきましたので、そのお礼として(しかしそれにしては微妙な出来であああああってなってますが)、書かせていただいたものです。
絵は掲載のご許可をいただいたので、別の記事でアップさせていただきます!
snow様、かわいくて素敵な絵を、ほんとうにありがとうございました!狼人間リヒャルトとミレーユの話です。





きっと耳も、ピンと立っているんでしょう?

『おとぎばなしのそのあとで。』




隣に座るリヒャルトが深い溜め息をつき、ミレーユは彼を見上げた。
繋いだ手があたたかい。そして少し気恥ずかしい。彼と恋人同士になってまだやっと半年。関係が変わったことに慣れてはいない。

「どうしたの?」
「……あなたに触れたいなと思って」

吐息混じりに切なく囁かれて、ミレーユは頬に熱を感じた。
たまに彼は妙に色っぽくなって、ミレーユを落ち着かない気分にさせる。

「さ、触ってるじゃない?ほら、こうやって」

繋いだ手をゆらゆらと振ってみせると、リヒャルトは微笑んだ。けれど、目は熱いままだ。

「ええ。そうなんですけど……、もっとしたいな」
「えっ」

思わずミレーユがぎくりと身をすくませると、 彼は慌てたような顔になった。

「あ、すみません!あの、あなたの嫌がることはしませんから。……嫌だな、俺は随分と欲張りになっていますね」

苦笑する顔に、ミレーユは何だかたまらなくなった。
彼が欲張りだなんて、そんなことはないと思う。他に同じ種族のいないなか、秘密を抱えて生きている人で、ミレーユにだって打ち明けるときに、別れを覚悟していたような、そんな生き方をしてきた人なのだ。

「もう…!遠慮しすぎよ、あなたは。もっと、色々わがまま言ったっていいのに!」

ぎゅっと繋いだ手に力を込める。そうしないと、なんだか離れていってしまいそうな気がした。

「ミレーユ……」
「…………?リヒャルト?」
「……なんです?」
「なんか……、あのっ、顔近くないっ?」

徐々にリヒャルトの顔が近づいて来ている気がして、ミレーユは焦って声を上げる。
ハッとしたようにリヒャルトは傾いていた首を元に戻した。

「いけない。つい願望のままに……」
「願望?」
「いえ。気にしないでください。でも、もし良かったら、抱き締めさせてもらえませんか?」

言われてどきどきしながらも、先程の消えてしまいそうな気配はなくなっていたから、ミレーユは安心もして、こくりと頷いた。
嬉しげに彼が、腕の中に彼女を閉じ込める。
顔が見えないほうが聞きやすい気がして、ミレーユは少し気になる点を質問してみることにした。

「ねぇ、もしかして本当は……。やっぱり何でもない」
「何ですか?」

けれどもなかなか口に出せることでもなくて、口ごもると、機嫌のよい声で彼は促す。
きっと、尻尾が出ていれば床に当たって、ハタハタと音がしているだろう。そういえば、しばらく彼の耳も尻尾も目にしていない。

「ううん、違ったらすごく恥ずかしいし」
「言って。笑ったりしませんから」
「う、うん。あの、もしかしてリヒャルトは、本当はキス、したい……の?」
「………」
「えっ、やっぱり違った!?うう、言うんじゃなかった。恥ずかしい…」

居たたまれなさに真っ赤になって彼の腕から逃げ出そうとすると、リヒャルトがミレーユをぎゅっと抱き締め直した。ぷぎゅ、とミレーユはつぶれた声を上げる。

「違わない」

降ってきた声に、ミレーユの頬はさらにぶわりと熱を持った。きっとこれ以上熱くなったら燃えてしまう。そう思うのに。

「本当は、毎日したいです」
「まっ!?」
「でも、あなたに無理させたくないし、俺は耳が出てしまうしで、毎回我慢してるからすごく欲求不満です」
「欲っ…!」

爽やかな人から思いがけない言葉が飛び出し、ミレーユは目を白黒させる。リヒャルトは微苦笑を浮かべた。

「すみません。あなたが思うより、ずっと俺は悪い奴なんだと思います」
「そんなことないってば!あなた、それだけ格好良くて何でもできて優しいのに、過小評価しすぎよ。あたしがどれだけいつもどきどきしてると思ってるの。だいたい、無理なんかしてないし、……あなたのこと好きなのに、あなたがいなくなっちゃう気がして、……本当は信じてもらえてないみたいだし」

リヒャルトを励まそうと声を上げたはずなのに、だんだん感情が高ぶってきて、ミレーユは目が熱くなった。慌てたような素振りで、リヒャルトがミレーユを抱きしめ、頭を撫でる。何だか求めているのと違う気がして、ミレーユはいやいやと頭を振った。

「ごめんなさい。泣かないで」
「泣いてなんかないったら……」
「泣いてる、ほら」

ミレーユの顔を覗き込んだリヒャルトが、そっと彼女の目じりに唇を寄せる。

「あなたのことを、信じてないわけじゃないんです。でも、幸せすぎて、これ以上望んだら罰が当たる気がして」
「あたしにできるなら、もっと幸せにしたいわよ」
「だって、俺は何もあなたに返せない」
「あなたがいれば、充分幸せなんだってば」

ぐしぐしと顔を拳で拭いながら返すと、その手を取られた。
泣きじゃくる顔で見上げると、怖いくらい真剣な表情のリヒャルトが、涙で滲んで見えた。

「どうしよう。すごく、あなたが欲しい。困らせるって分かるのに」
「困らないわ。……いないほうが困る」
「あなたなしには生きられなくなりそうだ」
「……そんなの、同じよ」
「ミレーユ」
「ま、まだ何かあるの?いい加減にあたしを信じ…」
「愛してる」
「……う、うん」

優しく頬に掌が添えられて、促されるまま顔を上げる。帰り道はどうしようとちらりと思ったが、ミレーユはまあいいかと思った。



目を閉じて聞こえる、パタパタと床を叩く尻尾の音が、とても幸せそうだったので。

(終)

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
目が熱くになってる…!目蓋だ…っ!帰宅したら直せるかな…。
つかさ
2012/01/10 07:16

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